【特許を取得した新素材】

この素材は、長年の研究と技術と努力により生まれた特殊な合金です。

金色素材の合金の配合として、あえて似ているものを探すとすれば、市販されている日本工業規格の「アルミニウム青銅」(Cu−Al−Ni−Fe−Mnの5元系)がもっとも近く、色合いも似たものになっています。

アルミニウム青銅は、強度、特に耐力と硬さが高く、耐食性・耐海水性・耐腐食疲労性・耐摩耗性など、機械的・科学的性質が真ちゅう(黄銅)に比べて優れた特性を持っています。

そのため、化学工業部品、船舶部品、機械部品等に多く使用されていますが、精密鋳造等の鋳物には向かず、また伸銅品ではあるものの、一般的に展伸加工材としての用途は多くありません。

また、アルミニウム青銅も金色の合金なのですが、2〜3ヶ月のうちに変色が始まり、部分的に黒くなっていきます。

そして1年も経つころには最初の輝きは完全に失われ、色調も全体的に黒くなってしまいます。この色調の変化を抑えるべく開発したのが、印鑑に使用されている金色合金のプラネットゴールドなのです。

弊社の金色合金は、サビに強いために黒くなることはありません。また、鋳造によるアクセサリーや圧延による板材も製作可能です。板材に関しては0.5ミリの厚さでもヒビや割れは発生しておりません。

色調は似ているものの、配合成分や比率なども異なるため、まったく違う合金となっています。

そのような特性を持った合金が、金色印鑑に使用されているプラネットゴールドなのです。

【金色合金の機械的性質】

1.硬さ試験

ブリネル式硬さ試験 52HB (10/500)

2.比重

約8.5 (象牙は約1.8なので、およそ4.7倍の重さ)

3.融点

融点 約1,100℃ 溶解温度 約1,250℃

4.引張試験

板厚2.1m/m、幅25m/mの試験片による引張り試験
引張り強さ 893N/mm2 伸び  6%
引張り強さ 463N/mm2 伸び 49%(焼鈍時)

5.抗菌作用に関して

調整菌液0.5mLを試験片に滴下し、ガンマー線ポリエチレン製フィルムをのせて、菌液と検査品を密着し、25℃で24時間保存した後、10mLのSCDLP培地で菌液を十分回収し、試験原液とし、標準寒天平板希釈法により35℃で48時間培養後、出現する生菌数を測定したところ、生存する菌はゼロであった。
(使用菌:Escherichia.coil IFO 3972,Staphylococcus.aureus IFO 12732)

6.かび抵抗試験

JIS Z2911によるかび抵抗性試験方法では、調整菌液0.5mLを試験片に滴下し、25℃で4週間保存した後、出現する菌数を測定したところ、菌糸の発育は認められなかった。(試験菌:アスペルギルスニゲル、ペニシリウムシトリナム、クラドスポリウムクラドスポリイデス、ケトミウムグロボスム)

7.人口汗浸漬試験

水1L中に塩化ナトリウム10g、乳酸1mL、尿素1.5gを溶解し、この液にアンモニア水0.2mLを加えた液中に24時間、試料を浸漬して行った試験では、曇りの変色はみられず、金属光沢を保持し続けた。

8.耐水性能

試験片を鏡面仕上げ後、容器に入れ、試験片の半分まで水道水を満たし、そのまま室内に6か月間置いた試験では、銅や真鍮では表面が黒ずみ、銅においては青錆の発生がみられたが、本製品においては変色はみられず、錆の発生も無く、金属光沢を保持し続けた。なお、蒸発した分の水道水は適宜補充した。

【合金とは】

合金とは、複数の金属元素が合わさったものです。例えば、清涼飲料水のアルミ缶に使われているアルミニウムは、純アルミではなく、マンガンなどが含まれた合金となっています。純度の高い金属を使用するよりも、使用する目的に合わせた性質を持つ合金を使用するのが一般的です。

プラネットゴールドは、銅を主体としてアルミニウムやニッケルなどを配合した合金です。配合によって合金の性質が変化するため、そのブレンドの割合や混合のやり方がポイントです。金色で腐食に強いという特徴を維持するための配合は独特のものになります。

ところで、銅合金と聞くと「青い錆び(緑青:ろくしょう)が発生するのではないか?」とよく聞かれますが、錆びに強い銅合金というもので身近なものに、50円玉や100円玉があります。硬貨をステンレスと間違えられる場合もあります。参考として、以下に硬貨の成分を表示いたます。

錆びに強い銅合金の硬貨


50円硬貨 白銅
(銅75%、ニッケル25%)
100円硬貨 同上
500円硬貨 ニッケル黄銅
(銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%)

錆びの発生する硬貨


5円硬貨 黄銅(真鍮 銅60〜70%、残 亜鉛)
10円硬貨 青銅(銅95%、残 亜鉛、スズ)

そして、弊社の高級印鑑の金色素材は、


金色合金 銅92〜95%
アルミニウム3〜6%、残クロム等

となっています。

【印鑑の製作】

プラネットゴールドでの印鑑の製作は、最初は木型を使った鋳造を行いました。

しかし、製品の中心部分に気泡が入ってしまい、丸棒を切断すると穴が空いてしまっている状態になりました。その後も木型や鋳造方法を変えて作りましたが、すべて失敗に終わり、印鑑としての製品化は不可能と思われました。
その後、中心部の空洞は無くなったものの、周囲の気泡は無くなりません。表面を鏡面研磨をしてみると、気泡が直径で1ミリに満たないような気泡でも、それがありますと、側面・上面等に「目立つキズ」となって現れます。

気泡を無くすことが常に最大の課題でした。「ス」と言われる気泡は、鋳造のときに発生するガスによって起こり、型に流し込むときにうまく処理をしないと製品の中に入ったままになってしまいます。

そのため、1,250℃で鋳造するときの溶けた金色合金の湯の流れをコンピュータでシミュレートしたり、金型鋳造や押し出し等の製造方法を研究したりする日々が続きました。

その後、コンピュータの解析や鋳造方法の見直し等により、気泡が含まれないムク材としての印材が完成することとなったのです。

金色印鑑が簡単に作ることのできない、非常にレアな印鑑だと言えるのは、素材の研究だけでなく、丸い棒を作る技術も研究を重ねたという理由によります。

【金色合金の特性】

一般的に金属の大気中での腐食は、表面に付着する水と空気中の酸素によって起こります。
大気中にある金属への水の供給は、降雨、結露、及び湿分の凝縮によって行われます。屋内での腐食における水分の供給は、ほとんど湿分の凝縮によるものです。

この湿分の凝縮と酸素の反応が、金色合金に与える影響を試験した結果として、
酸化皮膜の形成はあるものの、その成長は抑制され黄金色の色調を阻害することなく、いつまでもその色調を保持出来ることが確認されました。

金色合金は、水道水、海水、炭酸ソーダ、石灰水には腐食を起こさず全ての使用条件下で使用することができます。

また、人の手に触れることから人工汗浸漬試験を行い、色調に変化の無いことも確認いたしました。

そのような理由により、プラネットゴールドは、末永くご使用いただける大切な印鑑として最適な材質となっています。

【腐食についての一般的知識】

金属の腐食についてのお話です。金色印鑑の素材は腐食に強い特許素材のプラネットゴールドを使用していますので、それについての説明をいたします。

腐食には色々な形態がありますが、一番単純な腐食は、素材の厚みが次第に減っていくことです。

それは、金属が環境の作用で化学的に浸食される現象です。腐食は、一般的に水の存在や温度が高いことによって起こります。(湿食と乾食)

乾食の代表的な例は、空気中で起こる「酸化」ですが、酸素との反応による酸化被膜はとても薄いので乾食という点では全く問題になりません。

湿食の場合、常温付近では酸素や酸は金属として直接化学反応を起こすことは無く、必ず電気化学的な反応過程を経由します。
電気化学的な反応にはイオンの存在を必要とし、イオンが存在する為の媒体として水が必要になります。

私たちの身のまわりにある水は空気にさらされていますので、空気中の窒素や酸素が溶け込んでいる(溶存酸素)、水(湿分)や酸素による腐食反応の結果、腐食生成物(化合物)の皮膜が金属の表面にできるのです。

この皮膜がそれ以後の腐食反応を阻害するとき、腐食はずっと遅くなります。このように金属の表面に酸素や水(湿分)などの反応しやすい気体か液体が触れて、表面に酸化物か水酸化物の酸化被膜が形成されますが、この被膜が時間と共に厚くなってくるにつれて、金属光沢も失われていきます。

そのような理由で、金属の光沢を保持するためには、この被膜を抑制する必要があります。ちなみに、なぜステンレスは錆びにくいのかというと、一般用ステンレスは鉄、クロム、ニッケルの合金で、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、モリブデンと同じように、金属の表面に不動態皮膜と呼ばれる特殊な皮膜を形成します。この皮膜は、一種の酸化物で、薄く透明で目に見えません。

銅や銅合金の防食皮膜(酸化皮膜)は腐食生成物で、やや時間をかけて生成されますが、これに対して不動態皮膜は環境に触れて瞬間的に出来るものです。

プラネットゴールドは銅合金ですので、防食皮膜(酸化皮膜)が時間とともに生成されていきます。他の銅合金と違う点は、黒ずんできたり緑青(ろくしょう)が発生するということが、通常の大気中では起こらないことです。

【金色合金の配合方法】

弊社で使用している金色合金、プラネットゴールドの成分の分析をしますと、この素材にどのよう金属が配合されているかの構成要素を知ることができます。
ただし、検出しようとして検査をしないと通常の検査では出てこない成分も含まれています。
また、実際に製造をしてみるとわかりますが、分析して判明した成分の配合で溶かしてもうまくできません。
どの元素を、どの順番でどのように混ぜるかがとても重要です。
これに関しては、かなりの回数の試験を繰り返してできあがった合金ですので、すぐには製造できません。
ちなみに、特許に関しては金属の配合の構成成分の割合についての許容範囲で提出しております。

写真は、素材の試験に使用した溶解炉です。金色の合金を製造するときには1,250℃ですが、高温でなければ溶けない金属を混ぜる実験のために1,450℃まで温度を上げることもありました。

そのため、ヒーターはシリコンカーボン素材のものを使用し、温度を測定する熱電対(センサー)もR型という、プラチナ線のものを使用しています。1回の溶解では、だいたい6〜7kgの重量になるような配合をした合金を作ります。

銅、アルミニウム、クロム、マンガン、ゲルマニウム、ニッケル、鉄、インジウム等々の配合比率を変えて実験を繰り返します。
この溶解炉は可傾式のため、注湯するときには炉をチェーンブロックで吊り上げて作業します。配合比率、温度管理等、様々な実験を行い、失敗を重ねながら完成したのが、高級印鑑に使われている金色素材です。

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